まあそれなりに長年使ってきた身体だし
ガタが出始めるとは思う。
昨年のあっつーい夏、
TVで毎晩熱中症のニュースが流れていた頃
私は激しいめまいに襲われた。
台風が行った翌日の
苫小牧発大洗行きのフェリーに乗ったことがあるが
余波でお椀がテーブルの上を滑りまくった。
そんなもんじゃないめまいで
24時間船酔いしているかんじ。
ついには自分で救急車を呼ぶという経験も。
2日前に念願のロードバイクを注文したばかりなのに。
11日後には夏休み旅行を控えていたのに。
おおげさでなくもう人生終わりかと思った。
あんな経験忘れることはないが
約半年経って細かいことが思い出せなくなる前に
記録しておこうと思う。
7月28日(土)
ロードバイクを自転車店に注文する。
7月30日(月) 1日目
昼、いつものように立ち食いそばを食べた後
会社に戻って、午後2時頃
いきなりカタッとスイッチONというかんじで目の前が回り出した。
連日、熱中症のニュースを見ていたので
自分もか!と思い、会社の別室で寝てることにした。
7月31日(火) 2日目
目を開けるとぐるぐる回って吐きたくなるので
食事もろくに取れない。
会社の人に経口補水液やらウイダーやらを買ってきてもらい
1日中寝ている。
みんなが帰った夜。
激しく気分が悪くなる。
熱中症で孤独死してはたまらんと救急車を呼ぶ。
人生初めての救急車を自分で呼ぶとは思わなかった。
ほどなく救急車はやって来たが
一刻もはやく連れてってほしいのに
イスに座らされ、いろいろ質問を受ける。
そのうち気分の悪さが最高潮に達して吐いてしまった。
車に運ばれた後もなかなか発車しない。
住所が東京都にないことや
付添人がいないことやら
いくつもの病院に断られた後
やっと東大病院へ向かう。
乗る前に吐いたせいか着いた頃にはだいぶ落ち着いていた。
原因はわからずじまいだった。
点滴を受け精算しタクシーに乗って会社へ戻った。
もしかして熱中症ではなく脳の病気なのか?
という不安が頭をよぎる。
8月1日(水) 3日目
今日は歩けないほどではないので
近くの杏雲堂病院へ行き診察を受ける
CTや血液や尿の検査を受けたが
どこも異常はないという。
熱中症特有の数値も出ていないそうだ。
続くようなら耳の方を疑ってみてくださいと言われる。
ええ?まさか耳からめまい?
8月2日(木) 4日目
調子が最悪だ。
会社の人に付き添ってもらい
歩いても10分ほどの耳専門病院
神尾記念病院へタクシーで向かう。
待合室で座っていることができない。
ベッドのある室で寝かせてもらって順番を待つ。
お医者さんが目の動きをみて
「きてるきてる。ガンガンきてますね。」という。
耳鳴り・難聴はないので「メニエール」ではない。
頭の位置によるものではない。
など消去していくと「前庭神経炎」ではないだろうかということだ。
はっきり病名がわからないのかと不安になる。
点滴を受け、薬を7日分もらって帰る。
目を開けると世界がまわるので
TVも見られない。本も読めない。
音楽を聴いても楽しめない。
ラジオは思いのほか眼球が動く。
ただただ目を閉じて横になっているだけ。
私はもう注文したばかりのロードバイクに乗れないのだろうか。
1週間後に予定していた夏休みの家族旅行を
子どもが楽しみにしていたのに行けないのだろうか。
8月4日(土) 6日目
とても電車に乗る勇気はないので
週末も帰らず会社で寝ている。
わりと調子がいいので神尾記念病院へ歩いて行く。
病名はほぼ「前庭神経炎」。
音を脳に伝える神経は問題無いが
平衡感覚を伝える神経が炎症を起こし損傷。
原因ははっきり分かっていないそうだ。
神経が復活することはないと言われ愕然とする。
ただ脳のほうが次第に順応していくので
慣れてくれば普通の生活に戻れると聞き少し安心。
車の運転はしないようにと言われる。
8月8日(水) 10日目
この頃にはだいぶめまいも落ちついて
起きていられるようになる。
薬が無くなったので神尾記念病院へ行く。
夏休み旅行について思いきって先生に聞いてみると
「自分の判断で」。
海に入ってたとえば耳に水が入るとかは関係ないようだ。
自転車も平衡感覚のリハビリに良い(と私には聞こえた)。
ほっとする。
お酒は?
「飲んだら回ります」
しばらく禁酒だ(T_T)。。
詳しい検査をお願いしたが
冷たい空気を耳に入れ、人為的にめまいを起こして調べる検査なので
もう少し落ち着いてからの方が良いとのこと。
8日分の薬をもらって帰る。
8月10日(金)~15日(水) 12~17日目
約2週間ぶりに自宅へ帰る。
家族の心配をよそに帰った翌日から夏休み旅行を強行する。
都会ほどの通行量ではないのでレンタカーの運転もしてしまった。
ときどき頭がふらっと来る程度。
8月17日(金) 19日目
7種類ほどの平衡機能検査を受ける。
結果はやはり左耳の前庭神経炎。
あとは歩いたりして
脳に新しい平衡感覚を覚え込ませるのだ。
1ヵ月分の薬をもらって帰る。
10月16日(火) 約2ヶ月半後
薬はとっくに無くなっていたが
全然調子は良く、仕事も忙しかったので病院に行かず
今日になってしまった。
調子をみて薬を飲んだりしてくださいとのこと。
1ヵ月分の薬をもらって帰る。
約半年後
あれは何だったのだろうかというくらい普通だ。
私は幸い2週間ほどでほぼ普通の生活に戻ったが
重い人は半年ぐらい引きずるそうだ。
その間存分に働くこともできないのはつらいことである。
参考サイト
前庭神経炎―突然片側の平衡感覚が障害され、激しい回転性のめまい – 耳の病気 – 難聴.COM